第16回演奏会
2024年12月1日(日) 13:00開場 13:30開演
鎌倉芸術館 大ホール
- リヒャルト・シュトラウス(児玉章裕 編曲)/Symphonische Szenen aus "Der Rosenkavalier" 〜オーケストラのための「ばらの騎士」ハイライト (初演)
- プッチーニ(児玉章裕 編曲)/”Tosca" senza voci〜オーケストラのための「トスカ」ハイライト (初演)
指揮:児玉章裕
20世紀前半に作曲され、現在に至るまでオペラハウスの定番レパートリーとなっている「ばらの騎士」と「トスカ」。今回はこの2つの作品をオーケストラによるハイライト形式でお届けします。いずれもこの機会のために編まれた編曲での演奏となります。
なお、「ばらの騎士」のオーケストラによるハイライトでは、しばしば演奏される「組曲」というものが存在しています。しかし、私見では「ばらの騎士」の魅力を味わうには少々物足りないと感じておりましたので、今回は新しい編曲でチャレンジすることにしました。
そして、2024年はプッチーニ没後100年です!!
第15回演奏会
2023年10月8日(日) 12:50開場 13:30開演
横浜みなとみらいホール 大ホール
- バッハ(ストコフスキー編曲)/前奏曲 ロ短調
- ブクステフーデ(チャベス編曲)/シャコンヌ ホ短調 (日本初演)
- マーラー/交響曲第2番 ハ短調「復活」*
ソプラノ独唱:三浦志保*
メゾ・ソプラノ独唱:熊井千春*
合唱:みなととなみ「復活」合唱団 (世話役:廣瀬泰文)*
指揮:児玉章裕
マーラー「復活」は本来2020年秋に取り上げる予定でしたが、コロナ禍で中止せざるを得ませんでした。ようやく第15回演奏会で実現することができました。 前プロとして、叙情味溢れるバロック音楽のオーケストラ編曲を2曲。
第14回演奏会
2023年4月16日(日) 13:30開場 14:00開演
神奈川県立音楽堂
- ブゾーニ/モーツァルトのイドメネオへの音楽からの演奏会組曲 (日本初演)
- ラヴェル/ピアノ協奏曲 ト長調*
- シューマン(リスト編曲)/献呈*......ソリスト・アンコール
- イベール/モーツァルトへのオマージュ
- レーガー/モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ
ピアノ独奏:寺田まり*
指揮:児玉章裕
プログラムのテーマは「モーツァルトへのオマージュ!!」。モーツァルトを敬愛し、モーツァルトからインスパイアされた作曲家たち。その中からモーツァルト生誕200年を記念して書かれたイベールの同名曲を含む、20世紀に書かれた「モーツァルト賛」ともいえる作品を演奏しました。
ところで、なぜラヴェルのピアノ協奏曲が「モーツァルトへのオマージュ!!」というテーマのプログラムに入っているのか? それは、ラヴェル自身がこう述べている からです。「モーツァルトやサン=サーンスの協奏曲の精神に則って作曲した」と。その意味はこの曲は「古典派的」であり、ロマン派的でも印象主義風でもないということでしょう。
第13回演奏会
2022年11月26日(土) 13:30開場 14:00開演
鎌倉芸術館 大ホール
- ヨハン・シュトラウス2世/ワルツ「芸術家の生涯」(a)
- スメタナ(ジョージ・セル編曲)/我が生涯より(弦楽四重奏曲第1番 ホ短調) (b)
- リヒャルト・シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」 (c)
指揮:平山慎一郎 (b)(c)
ゲスト・コンサートマスター:平山慎一郎 (a)/椛島大樹 (b)(c)
企画及びプログラム・コンセプト:児玉章裕
テーマは「作曲家たちの生涯」。プログラムをご覧になればお判りのように「生涯」と名の付く作品を3曲取り上げます。
ヨハン・シュトラウスのワルツのタイトルは「生涯」というほど大仰なものではなく、「芸術家の生活」と呼ぶ方が妥当だという意見もあるようですが......。
スメタナの原曲は弦楽四重奏曲。ハンガリー出身で、アメリカのクリーヴランド管弦楽団を一流に育て上げた指揮者ジョージ・セルが管弦楽用に編曲した珍しい版での演奏です。
リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」は有名曲ながら、オーケストラにとっては超難曲であるためにアマオケが演奏する機会はあまりありませんが、今回「みなととなみ」は果敢に挑戦しました。
第12回演奏会
2022年5月28日(土) 13:00開場 13:30開演
鎌倉芸術館 大ホール
- ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」全曲 (序曲+劇中音楽9曲)*+
- ヴェルディ/歌劇「ドン・カルロ」〜エリザベッタのアリア「世のむなしさを知る神」*......ソリスト・アンコール
- ショスタコーヴィチ/交響曲第10番 ホ短調
ソプラノ独唱:三浦志保*
語り:松原 良+
指揮:児玉章裕
テーマは「政治と音楽」。音楽は、人を楽しませ、慰め、リラックスさせ、また高揚させたりもします。その不思議な力ゆえ、時の権力と結び付くこともありました。その権威を高め、荘厳な儀式を演出する手段として。(反対に「反権力」の手段として使われることもありますが。) このとき、個人としての作曲家と権力の間には緊張が生まれます。作曲家と権力が協力関係にあっても、敵対関係にあっても。
ベートーヴェンは、彼をモーツァルトのような神童として売り出そうとするいわゆる毒親タイプの父親から、音楽を教わることはあっても、教養や学問を身に付ける機会は与えられませんでした。しかし、彼の生地ボンでも、その後生涯を過ごすことになるウィーンでも、啓蒙主義的な考えを持つ貴族や裕福な商人たちの家に出入りすることにより、共和主義や自由主義の思想を知るようになります。ベートーヴェンは、当時としてはかなりのインテリだったのですね。彼がこのような進歩的な思想に共感していたことは、交響曲第3番「英雄」をナポレオンに捧げようとしたことでも伺い知ることができます。(結局それはご破算となってしまいますが。) メッテルニヒのウィーン体制下では、このような思想のベートーヴェンは危険人物と看做され、当局の監視下となりました。ただ、彼はかなりの有名人だったので、実際に拘束されるようなことはありませんでしたが......。とはいえ、ベートーヴェンの政治的な考えは矛盾も孕んでいます。ウィーン会議のときには、体制の求めに応じて愛国的な曲も作曲する一方、後には交響曲第9番のように政治や体制を超えてしまうような「自由や人類愛」を歌う作品も手掛けているからです。ベートーヴェンにとっては、何の矛盾もないことなのかも知れませんが......。
ショスタコーヴィチの生涯は、ソビエト連邦の歴史とそのままシンクロしています。若きショスタコーヴィチは、交響曲第1番の成功により天才として知られることになりますが、その作風は時代の空気に即したモダンなものでした。一方政治の側からは、ソビエトの社会主義は古い体制を打破してできたものだという考えから、音楽に限らず芸術全般にモダンやアヴァンギャルドという古いもののアンチテーゼとしての役割が期待されたのでした。ところが、レーニンからスターリンの時代へ移行すると、芸術に求められるものが一変します。いわゆる「社会主義リアリズム」です。そしてショスタコーヴィチは、政治の要求する路線に沿っていないということで、何度か批判に晒されます。批判といっても結果的に拘束されたり、最悪の場合は命を失うことにもなりかねない非常に危険なものでした。その頃から、表面上は体制に従順に見えるにも拘わらずその中には隠された本心があるという、ショスタコーヴィチの 二重性とも言える作風が生まれてきたと考えられています。
なお、スペインの支配下にあったネーデルランドの独立運動をネーデルランド側から描いた「エグモント」、スペイン側から描いた「ドン・カルロ」。ソリスト・アンコールはこんな理由で選ばれています。
第11回演奏会
2022年1月9日(日) 13:30開場 14:00開演
横浜市南公会堂 ホール(講堂)
- モーツァルト/ディヴェルティメント 変ホ長調 K.113
- モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調 K.131
- ブラームス/セレナード第2番 イ長調
指揮:児玉章裕
室内オーケストラによる小規模な演奏会です。通常の編成の市民オケでは降り番が多すぎて、まず実現不可能。また有名曲がひとつもない(ブラームスだけはちょっぴり有名?)という、実に「みなととなみ」らしい(笑)プログラムです。
モーツァルトのK.113は、彼が父親と共にイタリアのミラノを訪れた際に作曲されました。このとき彼は初めてクラリネットと出会い(クラリネットはまだ誕生間もない楽器で彼の生地ザルツブルクにはありませんでした) 、初めてこの楽器のために書いた作品です。
同じくK.131はモーツァルトの「オケコン」ともいえるような作品で、どんな目的や機会のために書かれたのは不明ですが、4本のホ ルン、木管、弦の各楽器群が華やかに絡み合うコンチェルタンテ風の大曲です。当時のホルンはナチュラル・ホルンというバルブの付いていない楽器で、自然倍音列以外の音は出せません。しかしこの曲ではハンド・ストッピングという難しい技法でを使うことにより、自然倍音列以外の音を盛んに使っています。恐らく優秀な奏者が揃っていたからでしょう。
ブラームスのセレナード第2番では、彼の「ドイツ・レクイエム」の第 1 曲と同様にヴァイオ リンが使われていません。そのため、落ち着いた音色の作品となっています。 彼はそれまでの協奏曲やセレナードを作曲した経験を生かして、この後いよいよ交響曲第 1 番に取り組みます。しかし、その完成は10数年も経ってからでした。
第10回演奏会
2021年8月9日(月・振休) 13:00開場 13:30開演
鎌倉芸術館 大ホール
- アイネム/フィラデルフィア交響曲
- ブルックナー/交響曲第5番 変ロ長調
指揮:児玉章裕
およそ100年の時を隔てて書かれた、2つのオーストリア産交響曲を演奏しました(アイネム1960年・ブルックナー1878年)。
重厚長大なイメージのブルックナーの交響曲は、現代では大編成のオーケストラで演奏されることが一般的です。しかし今回は、19世紀には一般的だった小規模編成のオーケストラで演奏しました(少なめの人数の弦楽器・スコアどおりの本数の管楽器)。同時代人のブラームス、チャイコフスキー、ドヴォルザークたちも、このようなオーケストラをイメージしていたのです。
また、ブルックナーの楽想が壮大であるがゆえに、ゆったりとした4拍子で演奏されることの多い部分も、実際のスコアではアラ・ブレーヴェ(2分の2拍子)で書かれていることも多く、それを踏まえたうえで少し早めのテンポで演奏しました。
第9回演奏会
2021年3月7日(日) 13:30開場 14:00開演
神奈川県立音楽堂
- ハイドン/交響曲第101番 ニ長調「時計」
- メンデルスゾーン/交響曲第3番 イ短調「スコットランド」
指揮:児玉章裕
コロナ禍の中、第8回演奏会から1年振りとなる演奏会。舞台上でのソーシャルディスタンスを確保するため小編成オケで演奏できる曲を選び、練習回数を従来の半分程度まで減らし、十分なコロナ感染拡大防止対策を取ったうえで、ようやく開催に漕ぎ着けることができました。
プログラムは、ドイツ語圏の作曲家によるイギリスとの関わりの中で生まれた交響曲を2曲。「みなととなみ」としては、有名曲ばかりのかなり珍しいプログラムです(笑)。もちろん、創意溢れる高水準な演奏を目指しました。
第8回演奏会
2020年2月22日(土) 13:20開場 14:00開演
横浜みなとみらいホール 大ホール
- デュカス/交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」
- フレデリック・ロウ(ロバート・ラッセル・ベネット編曲)/マイ・フェア・レディ〜シンフォニック・ピクチャー
- リヒャルト・シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」
- マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜交響的間奏曲......アンコール
指揮:児玉章裕
"Cinema Classics"と銘打って、銀幕を彩った音楽を演奏しました。オーケストラを知り尽くした作曲家、編曲者たちが創り上げる色彩豊かなサウンド!! 更にパイプオルガンの荘重な響きも演奏に華を添えます。
ミッキーマウスが箒に翻弄されるディズニー映画「ファンタジア」の中の「魔法使いの弟子」。ブロードウェイ・ミュージカルの映画化、可憐なオードリー・ヘプバーンでお馴染みの「マイ・フェア・レディ」。「2001年宇宙の旅」で使われ、その冒頭部分ばかりが有名になってしまった(!?)「ツァラトゥストラはこう語った」。横浜周辺地区のアマオケとして、「ツァラトゥストラ」の全曲演奏はこれが初めてとなります。
アンコールの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲は、「ゴッドファーザー PartIII」で効果的に使われています。
ソニーフィルハーモニック合唱団主催 特別演奏会
2019年11月2日(土) 16:30開場 17:00開演
小金井 宮地楽器ホール (小金井市民交流センター)
- ハイドン/オラトリオ「四季」(全曲)
合唱:ソニーフィルハーモニック合唱団
合唱指導:江端員好
ソプラノ独唱:駒井ゆり子
テノール独唱:又吉秀樹
バス独唱:成瀬当正
チェンバロ:山田康弘
指揮:児玉章裕
弊団は当演奏会に賛助出演させていただきました。
第7回演奏会
2019年8月24日(土) 13:00開場 13:30開演
横浜みなとみらいホール 小ホール
- バッハ(ホルスト編曲)/ジーグ風フーガ
- モーツァルト/交響曲第41番 ハ長調「ジュピター」
- バッハ(ラフ編曲)/シャコンヌ
- ブラームス/交響曲第4番 ホ短調
指揮:児玉章裕
温故知新の傑作交響曲を演奏!
モーツァルトとブラームスの最後の交響曲の大きな特徴は、その終楽章にあります。すなわち、モーツァルトは「フーガ」、ブラームスは「シャコンヌ (或いはパッサカリア)」というバロック音楽の要素を取り入れていることです。
でも、交響曲だけ演奏して終わり、というプログラムにならないところが「みなととなみ」の「みなととなみ」たる所以です。バロック音楽を代表して大バッハにお出ましいただき、彼の「フーガ」と「シャコンヌ」のオーケストラ編曲版も演奏しました。因みに「フーガ」の原曲はオルガン曲 (BWV577)、「シャコンヌ」の原曲は「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ (BWV1004)」の中の有名な1曲です。
第6回演奏会
2019年1月27日(日) 13:30開場 14:00開演
カルッツかわさき ホール
- ウォルトン/「ポーツマス・ポイント」序曲
- ブリテン/四つの海の間奏曲(歌劇「ピーター・グライムズ」より)
- リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」
- リムスキー=コルサコフ/ドゥビヌシカ......アンコール
指揮:児玉章裕
コンサートマスター:苗村賢一
「みなととなみ」という楽団名のとおり「海」「船」「港」「波」にちなんだ曲をテーマとして演奏しました。
まさに才気煥発というしかない若きウォルトンの序曲。「ヴォツェック」などと並ぶ20世紀オペラの古典「ピーター・グライムズ」から、「夜明け」「日曜日の朝」「月の光」「嵐」という様々な海の表情を描いた間奏曲。そして、アラビアンナイトの物語にインスパイアされたリムスキー=コルサコフの代表作、と変化に富んだ「みなととなみ」流「音楽の海」大航海プログラムです。
第5回演奏会
2018年8月12日(日) 13:30開場 14:00開演
めぐろパーシモンホール 大ホール
- リムスキー=コルサコフ/「ロシアの復活祭」序曲
- ベリオ/フォーク・ソングズ*
- ビゼー/歌劇「カルメン」〜ハバネラ*......ソリスト・アンコール
- バルトーク/管弦楽のための協奏曲
- ベリオ/ボッケリーニの「マドリードの帰営ラッパ」による4つのオリジナル・ヴァージョン......アンコール
メゾ・ソプラノ独唱:熊井千春*
指揮:児玉章裕
「民謡・大衆歌・宗教歌がステージに上がるとき」というテーマのプログラムです。作曲家たちが自らのアイデンティティを意識し表現するために、これらの音楽とどう向き合い、どのような衣装を纏わせてステージに上げたのか?
リムスキー=コルサコフはロシア正教の復活祭を音によって描くことで、自らのロシア人としての矜持を明らかにしました。ベリオの作品は妻であったメゾ・ソプラノ歌手キャシー・バーベリアンのために書かれ、彼らと関係の深いアメリカからヨーロッパ、そして中央アジアの民謡を新鮮な感覚でアレンジしました。バルトークは当初後期ロマン派の作風からスタートしましたが、出身地ハンガリーのみならず広範な地域で精力的に民俗音楽を収集しました。そしてその精神や技法を自らの作品に取り入れ、独自の作風を築き上げていったのです。
日頃の私たちの生活の中でも、朝から晩までいろいろな音楽が耳に飛び込んできます。作曲家だって同じです。コンサートホールの音楽だけでなく、当時のいろいろな音楽に囲まれて日々生活していたのですね。
第4回演奏会
2018年2月11日(日) 13:00開場 13:30開演
鎌倉芸術館 大ホール
- ハイドン/交響曲第38番 ハ長調
- ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
- ブラームス(シェーンベルク編曲)/ピアノ四重奏曲第1番 ト短調
- ブラームス/大学祝典序曲......アンコール
指揮:児玉章裕
ハイドンの交響曲から始まって、ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」、そしてブラームスのピアノ四重奏曲第1番のシェーンベルク編曲版を演奏しました。すなわち、ハイドン→ブラームス→シェーンベルクと「しりとり」風に曲目が繋がっていくプログラムです。
お遊びともいえるプログラムですが、作曲家に限らず芸術の創作を志す者は、先人の影響下でまずその模倣から始めたり、尊敬する芸術家に因んだ作品を作ったりもします。ハイドンは後期バロックや前期古典派の影響下で作品を書き始め、今回演奏する交響曲にもその辺の色合いがまだ色濃く残っています。ブラームスは古典派やそれ以前の作曲家を尊敬し、良くその作品を研究していました。シェーンベルクは、一般的には保守的と言われるブラームスの作品を研究し、その作品中にブラームスの同時代人である革命児ワーグナーにも劣らぬほどの革新性を見出しました。そう、「しりとり」は、一つの作品が先人からいろいろなものを受け継いで成り立っている、そんなことを改めて認識する旅でもあるのです。
第3回演奏会
2017年9月23日(土) 13:00開場 13:30開演
神奈川県立音楽堂
- アイアランド/ロンドン序曲
- フィンジ/チェロ協奏曲 イ短調 (日本初演)*
- バッハ/無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調〜 ブーレ*......ソリスト・アンコール
- エルガー/エニグマ変奏曲
- ブリッジ /弦楽のための組曲〜 間奏曲......アンコール
チェロ独奏:森田啓佑*
指揮:児玉章裕
魅惑のイングランド作品プログラムです。
めったに演奏機会のないアイアランドの楽しい序曲、注目の若手チェリスト森田啓佑さんをお迎えしたジェラルド・フィンジのチェロ協奏曲 、そしてエルガーの出世作のひとつともいうべき「エニグマ変奏曲」が演奏されました。
少数ながらも熱狂的ファンが存在するフィンジ愛好家の間で、当演奏会でのチェロ協奏曲日本初演はちょっとした話題になりました。かなり遠くから、この日本初演を聴くためにお越しいただいた方もいらっしゃいました。
第2回演奏会
2017年5月21日(日) 13:30開場 14:00開演
渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
- イベール/室内オーケストラのための「ディヴェルティスマン」
- ヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ 第2番
- ストラヴィンスキー/バレエ組曲「プルチネルラ」
- ファリャ/バレエ音楽「恋は魔術師」
- ファリャ/バレエ音楽「恋は魔術師」〜火祭りの踊り......アンコール
指揮:児玉章裕
マーラーを演奏した第1回とはガラリと変わって、室内オケの演奏会です。ヴィルトゥオージティ溢れる近代室内オケのレパートリーから4曲。アマオケ演奏会におけるお約束曲目ともいうべき交響曲や、レパートリー定番の独墺作品がひとつもありません。作曲家もフランス人、ブラジル人、ロシア人、スペイン人となかなか国際色豊かな顔ぶれです。この日、渋谷をエキゾチック&エスニックな街にしてしまったのは「みなととなみ」でした!!
第1回演奏会
2016年11月12日(土) 13:00開場 13:30開演
神奈川県立音楽堂
- レズニチェク/歌劇「ドンナ・ディアナ」序曲
- ハイドン/交響曲第100番 ト長調「軍隊」
- マーラー/交響曲第4番 ト長調*
- バッハ /カンタータ第82番「我は満ち足れり」(第2稿ソプラノ版) 〜第1曲*......ソリスト・アンコール
ソプラノ独唱:清水麻依*
指揮:児玉章裕
記念すべき第1回演奏会!!
プログラムのコンセプトですが、第一に「古典に倣って」ということ。レズニチェクの序曲はトロンボーンやテューバを外し、形式も古典派のアレグロ楽章に倣って、極めて軽く(「フィガロ」風イメージ) 作ってあります。また、古典派アレグロ楽章の定番である「提示部の繰り返し」まで真似て作られています。マーラーの交響曲第4番も古典派交響曲を意識して作ってあるとはいえ、実際にはそんな単純なものをマーラーが書くワケもなく、随所にアイロニーや毒が潜んでます。終楽章で天国を歌うハズなのに......。
第二に、あまり有名曲がない「ト長調交響曲」ということ。頻繁に演奏される「ト長調交響曲」、さあ一体どんな曲が思い浮かびますか? まず思い浮かぶのはハイドン。ニックネーム付きだと、第8番「晩」、第88番「V字」、第92番「オックスフォード」、第94番「驚愕」、そして今回の「軍隊」といったところ。もちろんモーツァルトだって「ト長調交響曲」を書いているのですが、有名曲はありません。ベートーヴェンにト長調交響曲はないし......。ハイドン以後の有名ト長調交響曲となると、ドヴォルザークの第8番くらいでしょうか? 頻繁に演奏される「ト長調交響曲」って本当にないものですね。マーラーが交響曲第4番の調性をト長調に決めて、編成からトロンボーンやテューバを外したとき、当然ハイドンの交響曲のことを意識していたことでしょう。